だからどうか、


生きることをやめないで
手を繋いでどこまでいこうか−0.5−
戦いが、終わった。


アロウズは解体され、イノベイターはその身を世界から引いた。



世界が歪みに気付き、これから正そうとするならば、今度こそ、統一された世界で、自分達が掲げた理念が、
理想ではなくなるだろう。

自分の役目は、終わりだ。





失うものがあまりに多すぎた。


酒豪だが頼りになる戦術予報士。
妹のような存在の戦況オペレーター。
温厚だった青年。
最初は反りが合わなかったパイロット。


そして、あいした、ふたり。



もう、いい。

もうこのせかいに、心残りなど一つもない。

早く、あいたい。


もう、つかれた―――。




もはやコントロールを完全に失い、宇宙空間に漂うダブルオーの中で、刹那はゆっくりと、その眼を閉じ、
終わりを迎えようとしていた。





 ダメだよ、刹那




声が、聞こえた。
一度閉じたその眼を再び開くと、そこには、あいしたひとが、ふたり。




 刹那は、まだこっちに来ちゃダメだ




…ひどいな。
まだ、戦えと、言うのか。





自嘲気味に笑う刹那に、二人は首を横に振る。





 違うよ
 戦ってほしいんじゃない

 生きて、ほしいんだ

 生きて、それで、守ってほしいんだ





守る…?
俺が…何を…?





 大丈夫だよ
 俺たちは、ずぅっと、刹那の傍にいるから


 だから守って

 俺たちと刹那の、大切な―――
…ニール、ライル………
薄れゆく意識の中で、刹那は、自分の名前を呼ぶ、あの青年の声を聞いた
09.01.24


title by=テオ


NEXT→