やさしくなんかしないで 渇いた恋慕
朝からどことなく体が重いのはわかっていた。
自分が女であることを享受したことは一度もない。
スメラギ・李・ノリエガのような色香もない。 そんな自分が、何故女なのか。 この月に一度来る痛みが、余計にそう思わせる。初めて来たときは絶望感すらあったほどだ。 重い痛みを抱えたまま、ブリーフィングルームへと向かう。 後日行われる予定のミッションの内容を確認する際中も、ずっと下腹部は鈍痛が襲っていた。
ブリーフィング終了と同時に、各自がその場を後にする。 感覚が歪んだ中で、その声だけ、やけにはっきり聞こえた。 目を覚ますと、見慣れた天井が視界に入る。 「お、目覚めたか?」 その声に視線を動かせば、彼がそこにいた。 「ロックオン…」
眠ったからだろうか、先ほどまでの痛みは、少しだけ和らいでいた。 「ほい」 そう言われ差し出されたのは、湯気を出しているマグカップ。 「ホットミルク。飲んどけよ」 またミルクか、と顔を歪ませたが、いちいち反論するのも今は面倒だ。 その言葉に、思考が停止する。 今、なんと言った?この男は。 なら何故。 よりにもよって、何故コイツが。 凝視する視線の意味を知ったのだろう、彼は言葉を続けた。 「あぁ、知ってたよ。いや、なんとなく。 だから無理しちゃダメだぞ、と、また同じ言葉を紡ぐ。 「いつ、からだ」 そんなに、前から。 あぁだからか。 「誰にも言うな」 「言わないよ。隠したいから何にも言わなかったんだろ、今まで」 その言葉に、少しだけ安堵する。 「女扱い、するな」 その言葉に、ロックオンが一瞬目を丸くするのがわかった。 「別に、してるつもりないよ。てかそんなことしたらお前怒るだろ」 納得してしまう自分がいた。 あぁけれど。 アンタには一番、知られたくなかった。 何故なんて、知らないけれど。 08.12.30title by=テオ |